1.立場の違い
多くの企業のコンサルティングの現場で目撃するのが、経営者と従業員の思いのすれ違いである。そんなことを思っていなくても、“上から目線”と取られてしまう経営者のコメント。その逆で、一生懸命やっているのに“甘えている”と取られてしまう従業員の勤務態度。信頼関係があるか、ないかの違いも大きい。信頼関係があれば、プラス方向で解釈してくれるからだ。
先日、お伺いしたお客様でも、若手経営者と従業員の間に微妙なすきま風が吹いていたので気になった。よくよく聞くと、その経営者の先走ってしまうコメントや表現に、従業員がついて来れなくなってきているとのこと。難しい問題である。経営者としての立場上、厳しいことも言わなくてはいけない。それも先手を打って。それが逆効果になっているのだ。
2.本音と建前
人間関係を円滑にしようと、ほとんどの人が本音と建前を使い分ける。本音だけでは生きられないし、建前ばかりではつまらない。人は都合よく使い分けるのだが、そのために、どこまで本音でどこからが建前なのか、区別がつかないこともある。
社員の言うことをどこまで信じたらいいのか。経営者はどこまでオープンにして話してくれているのか。お互いの疑心暗鬼が生まれてしまう要因もここにある。
ここには、立場上、本音で話しにくい場合も出てくるし、逆に本音で話しやすい関係もある。経営者と社員という関係抜きで、お互いが学校の同窓生・同級生だったり、子供が同じ学校だったりすると、距離も変わってくる。親子だから本音で話せるとも限らない。親子でも仲が悪いケースは少なくないからだ。
3.ひと呼吸置く難しさ
どちらにしても、相手の言うことを聞くだけきいて、そしてひと呼吸置いてから自分の意見を言ったり、判断したりしているだろうか。簡単ではない。どうしても前提の聞くことが不十分になってしまう。そして、多くの場合、聞いているうちに冷静でいられなくなるのだ。怒りの感情、悲しみの感情、苦しみの感情など、様々な感情が沸いてきて、最後まで聞いていられなくなったり、聞き終わった途端にその感情に任せて自分の意見を主張してしまう。感情に左右されるので、冷静な意見や判断になっていない。だから周囲はついてこれなくなってしまうのである。
ひと呼吸置くことを意識する。感情を落ち着けてから、客観的に判断する。そこから前向きの感情を持って(やってやろうという感情)、取り組んでいけばいい。