【第249号】家族の支え

1.働き方と家族

 最近、働き方に関して様々な経営者と話をする機会が多くなっている。また、同時に多くの人と家族のあり方について話す機会も増えた。働き方については、多くの職場が不活性化してきており、社員が楽しく働けていない様子が伺える。また、家族のあり方も父親の存在が薄れ、子供が将来(仕事、働くこと)に対して夢を持てなくなっている。
 これは当然の結論である。家族の中で、働いている親(父親、母親、もしくは両方)が、家を出るときも、帰って来たときも疲れた様子で、元気がなかったら、その姿を毎日見ている子供はどう感じるだろう。「働くって大変なんだな、辛いんだな」としか感じないだろう。楽に稼げることはない。しかし、常に辛いのであれば、40年近く働くことへの希望を持てない。

2.本当に向き合えているか

 外で働いていると、自分だけが辛いと思ってしまう。しかし、辛いのは自分だけではない。家を守っているパートナーもそして子供も毎日過ごしていれば、辛いことはある。その話を聴いてあげられているだろうか。寄り添えているだろうか。
 元気に働きに行けて“当たり前”になってしまっていると、家族は置き去りにされた状態になる。働く夫を持つ妻の立場の方の話を聞いてみると、会話が本当に少なくなっている。特に、子育てにあまり関わらない夫や、子供があまり手がかからなくなってからの夫婦のあり方が課題のようだ。元気に働けるのも、それを支えてくれる家族あってのこと。それがどうも崩れてきている。一番そばにいる人とのコミュニケーションが一番難しいのも確かではある。しかし、このような状況で、本当にいい仕事ができる環境なのだろうか。

3.会社も同様

 会社も同じ考えに立つべきである。社員が元気に働けるように支えてくれている家族に配慮しているだろうか。社員を酷使して、社員を疲弊させるだけでなく、その社員の生活・家族を崩壊させるようなことをしていないだろうか。社員が楽しく働ける環境を整えていないために、家庭が殺伐とした雰囲気になってしまっていないだろうか。
 社員の気持ちの持ち方や、上司のマネジメントの問題もある。しかし、会社でのサポートしていくことは重要なのである。社員が楽しく、効率的に、能力を発揮できる環境をいかに整えるか。真剣に考えている企業は少ない。
 「経営者の思いを社員の協力を得て実現していく」のが経営である。社員の協力をいかに気持ち良く得て、進んでやってもらうか、を真剣に考えるべきである。