1.教育の受け皿
人材育成は「投資」である。つまりリターンが見込めるものなのである。しかし、教育を受ける側(人)の“受け皿”が無いとリターンがほとんど見込めなくなる。注ぎ込んだものがザルに流し込むように漏れていく。教育の効果がなくなってしまう。この“受け皿”はどのようにしたら良いのだろうか。
まずは教育を受ける人の姿勢である。自分が学ぶ、という姿勢にならないとダメである。「会社が行けといったから・・・」というスタンスでは、効果は上がらない。また自分の現状をどれだけ客観的に見つめられるか、も重要となる。素直に学ぶ姿勢が確立されていないと、インプットの段階でフィルターにかかってしまう。必ず何かを得て終わる、という気持ちで臨まないとダメなのである。
2.採用の受け皿
優秀な人材を採用していくうえで、重要となってくるのは、就職活動をしている学生や中途採用を目指す社会人の視点である。彼らはどんな会社に入りたいと思っているのか。退職の理由から推測すれば、単に給与の問題だけでない。人間関係が良好か、教育体制は整備されているか、休暇の取得状況はどうなっているか、残業は多いのか、若手社員はどのくらいいるのか、などが関心事項としては多い。つまり、そこが就職希望者にアピールできるかどうかが重要となってくる。
これだけ、教育に投資しています、休暇は取りやすい仕組みになっています、若手社員も多く、活躍の場があります、などが必要なアピール事項となる。
また人事制度も重要となる。キャリアプランはどうなっているのか、アドバイスはしてもらえるのか、サポート体制はどうなっているのか、などチェックしておく必要がある。
3.事業の受け皿
事業を展開していくうえでも同様である。戦略を構築しても、実行できる部隊が必要となる。モノを作っていくにしても、どういうものを作ればいいのかを考える開発部隊が必要となる。そういう人たちを育成していく仕組みが必要となる。
全て密接に関連している。「できない病」はこれらの“受け皿”を用意できていないからである。そして、これらの“受け皿”がないことを理由に先に進めないと言っているのである。しかし、それでは、これからの時代は勝ち残れない。ライバルより早く、そして取引先といっしょにお客様に価値提供をし、生き残っていくためにも“受け皿”をしっかりと整備し、やりたいことが実践できるようにしていくのである。
教育の成果があがらない、いい人が取れない、事業が上手くいかない、と嘆く前にやることはいっぱいあるのである。