【第243号】覚悟の決め方

1.他人のせいにしていないか

 よく「覚悟を決めなさい」という言葉を聞く。「覚悟ができていないから、やれないんだ」とも聞く。そもそも覚悟とはなんだろうか。ある人と話していた時に、「どうしてそれができないの?」と聞かれた時も、筆者は、「覚悟ができていないのだと思います」と回答していた。そのあと返ってきた答えに筆者は大きくうなづいてしまった。「うーん、覚悟ってなんだろうね。それは単に、決めていないだけなんじゃないのかな。覚悟云々は、それを聞いた他人が表現することじゃないのかな」その通りだった。覚悟するという言葉に逃げていたが、よく言う「腹を決める」ことができていなかったのである。だから先に進めない。やると決めたことができないのである。

2.決められる人

 どうしたら決められる人になるのか。人間は1日生活している間に10000回以上のジャッジをしていると言われている。「今、水を飲もう」「休憩しよう」「この仕事をしよう」「右に曲がろう」など、数々の決断を無意識にしている。だから決められない事項は特定のものなのだ。その特定なものとはなんだろうか。
 ひとつはやることによるメリットを感じられないものである。それをすることで、自分のメリットがわからない場合。新たなことをする、今より負荷のかかるものをする場合、どうしてもいつもとは違う「動機」が必要となる。それが、はっきりしない状況では、「やろう」という決心がつかない。
 もうひとつは自主性の問題である。人から言われやる「やらされ感」があるとなかなか決心できない。当然、上司から「やるんだろうな」と暗黙のプレッシャーの中で決めたことも同様である。

3.自分との向き合い方

 自分にドライブをかけて、決めていく人になるためには、自分としっかりと向き合っていかなくてはならない。何をするのか、何をしたいのか、自分はどうなりたいのか、それをすることで何が変わるのか、全て整理する。全部「自分」である。業績が悪くなってくると管理が厳しくなり、上司の顔色を伺って仕事をする社員が増えてくる。それではダメである。仕事には本来様々な意味があり、必要性がある。仕事を通じて、誰に(何に)どんな貢献をしていきたいのか、という使命感を持たなければならないのである。
 決められる人は、そこが違う。しっかりと自分のすべきことが腹に落ちている。だから前に進めるのである。
 なかなか決められない、前に進めないという人はもう一度原点に立ち返り、見つめ直してみるべきである。