【第229号】何を止めるか、何を捨てるか

1.動けば動くほど溜まるもの

 筆者は自慢ではないが、あまり片付けは得意な方ではない。捨てられないタイプなのである。「いつかは使うだろう(そのいつかはほとんどやってこない)」「これはあの時の思い出がある(思い出すのは数年に一度なのであるが)」など、いろいろと理由はつけては、家族から邪魔物扱いされているガラクタを大事に取っておいてある。
 動けば動くほど(インプットなど)、その資料は増えるし、参考書籍も増える。インプットの時間が増え、アウトプットの時間も増えてくると、整理する時間が削られていく。ただでさえ、そんな時間などない、となりがちなのに、ますます物が増えてきて、収拾がつかなくなっている。どんなに散らかっているように見えても、どこにあるのかを当てられるのは、長年多くのものを身の回りに置いてきた生活習慣から習得したものだろう。

2.止めるものと、始めるもの

 しかし、物の保管場所には限度がある。新しく手に入れたものを収納するには、以前からあるものを捨てなければならない。これは、時間管理にも言えることである。何かを始めるときには、何を止めるかも考えなければならない。日常業務におけるマネジメントも同様である。止めることをしないから、管理項目だけが増えていく。会議資料が増殖していくのも同じ理由である。
 この決断をしないと、結局、やることの多さに押し潰されて、何もできない(以前から取り組んでいたものも含めて)状況になってしまう。そういう理由で、新しく始める前に、止めることを決めておく必要がある。

3.身の回りの整理は心の整理

 身の回りが雑然としていると、心も落ち着かない。物の多さだけでなく、それが整理されているかが、重要となる。
 筆者も必要に迫られて、納戸を久しぶりに整理した。すると、不要なものがいっぱい出てくる。「こんなものがまだ残っていたのか」「こんなものを大事に取っていたのか」なんてものが続々と出てくる。3年前に引っ越していたのに、捨てきれていなかった。これでは、家の中も部屋も片付かない。気持ちも落ち着かないはずである。
 じっくりと考えてみると、考え方や趣味が変わってきていれば、取っておくべき書籍も変わり、趣味の道具も変わるはずなのである。思い出のために取っておくべきものなど、ほとんどない。それは過去にすがりついているだけの場合が多い。過去の成功体験に縛られると成長できなくなる。