【第150号】仕事の通信簿

1. はっきり書いて欲しいけど・・・

 仕事の中には、自分の仕事が客観的に評価される機会が定期的に訪れるものがある。飲食店、引越し業者などのサービス業でのCSアンケート。生命保険の担当者に関するアンケートもある。また、筆者のような仕事でも、セミナー終了後や講演会終了後にアンケートがある。これは言ってみれば、「仕事の通信簿」でもある。人事考課もある意味通信簿であるが、社外のアンケートはごまかしようがない。油断している姿が反映されている場合もあるし、知られていない実力が反映されている場合もある。
 いずれもはっきりと書いてもらうことが重要である。怖いのは“サイレントカスタマー”だからである。良いことがはっきりと書いてある場合は、気持ちいい。しかし、悪いコメントがはっきりと書かれているとさすがに辛い。筆者もいいコメントばかりではない。いろいろなご指摘を受ける。

2. それをどう生かしていくか

 重要なのは、それを次に生かしていけるかどうかである。特に、厳しい指摘を受けて、「わかってくれなくてもいいよ」「あの時はたまたま上手くいかなかっただけ」などと開き直っていては、進歩がない。実力と違う評価になっているのであれば、その理由があるはずである。100人いて、100人全員が満足することはありえない。様々な価値観があり、受け止め方があるからだ。構って欲しいお客様もいれば、放っておいて欲しいお客様もいるのと同じである。
 しかし、その厳しいコメントをくれた何人かはどのような理由があれ、そう感じたのである。
 原因を追究することだけが目的ではない。その悔しさをバネに更に成長していくこともひとつである。もっと良くなって、必ず満足させてやる、という気持ちを持つだけで仕事に前向きになれる。

3. 「クレームをファンづくりに」の意味

 クレームをくれるというのは、期待している、ということでもある(もう来ない、というクレームもあるが)。もっと良くなって欲しいという要望である。開き直ってはそれに応えられない。
 注目しているからサイレントカスタマーにならない。その注目がなくならない間に、改善をしなければならない。その改善点はクレームというヒントをくれている。商品・サービスを購入していただいた上に改善のヒントまで提供してもらっているのである。生かさない手はない。次来ていただいた時、それが改善されていたらファンになることは間違いないのである。