【第123号】夢が持てるか

1. 若い女性のある夢

 先日、異業種の方々と食事をする機会があり、社会人2年目の女性が自己紹介とともに、自分自身の夢を語った。まだ社会の厳しさを全て体験したわけではないが、しっかりと自分の夢を持っていた。そしてその夢を持つに至った理由もはっきりとしていた。久しぶりにうれしく思ったできごとである。
 ここ数年、20代の男性社員からは夢らしい夢を聞けていなかったので、新鮮な驚きがあった。草食男子、肉食女子と色分けしたくはないが、アウトプットの内容では、女性の輝きは増してきているようだ。異業種交流の場でも、男性は比較的年齢が高い(といっても30代の方も多い)、女性は20代からの参加が目立つ。インプットしようという姿勢でも負けているからか。
 その女性の夢は「地域活性化」であった。身近な人たちの影響も受けたのだろうけど、自分にできることを模索しながら夢を見つけたことはすばらしいことである。若いから発想も豊かである。実現可能かどうかよりも、まずやりたいことから入る。制約を設けない発想の重要性はビジネスにも通じる。

2. アドバイザーの存在

 気がかりなのは、その若い女性の近くに適切なアドバイスをしてあげられる人がいなかったことである。ようやく異業種交流で見つけられたようだった。
 それでも彼女は見つけられただけ幸せである。多くが同じ世代の同じ経験の人たちとしか交われないことが多い。職場でも年齢が近い社員がいないだけでなく、利害関係などもあり、自分の夢を率直に語れる場がない(あるいはないと思っている)。
 会社の飲み会や取引先との飲み会と異業種交流の場の違いは、相手の言うことへの集中度かもしれない。前提条件がわからないので、一生懸命になって理解しようとする。今、おかれている立場や環境も違うので、質問をしながらそれを探っていく。話したくないことは無理に話さなくてもよい、というのも気楽な気持ちで臨める理由のひとつになっている。知っていないことが当たり前なので、何でも気軽に質問できる。
 また、そういう場に参加してくる人は好奇心が旺盛で、向上心も強く、モチベーションも高い。若い人にとっては刺激的である。
 会社でこういう環境をつくっていくためには、QCサークルや委員会活動を活発化させていくことが必要となる。知的好奇心をくすぐってあげ、モチベーションを上げてあげる。冒頭の女性のように、自分の力では変えられない、ではなく、自分には何ができるか、からで十分なのである。結果はあとから付いてくる。