【第122号】ビジネス基本動作の劣化

1. 挨拶

 挨拶がビジネスにおいて重要だということはどの場面でも言われることである。皆さんも日々、耳にしていることだと思う。
 しかし、「知っている」と「身についている」が大きく違ってくるのもこの部分である。まず、挨拶する対象を自分勝手に選んでいることが多い。この場合、すべき人とそうでない人(そんな区分は本来ないのであるが)を分けているつもりが、したい人としたくない人になっているのである。まず、どんな人に対してもできる姿勢が必要である。
 また、声の大きさや表情も重要である。しているつもり、では伝わらない。伝わらない原因の大半が、この声の大きさと表情なのである。聞こえない声なので、伝わらない。笑顔でないので、伝わらない。形式的に挨拶していても、意味がないのである。
 これらが、できて当たり前なのに、驚くほどできていない。しかし、本人たちはやっているつもりになっている。

2. 基本的な事務作業

 ワープロ、携帯世代ということなのか、書くことの技術が弱い。漢字が書けない、書けても書き順が違う。きれいな字が書けない(特別にきれいな字ではなく、読める字レベルが満たせない。また、丸文字のような字しか書けない場合もある)。語彙が極端に不足している。また、漢字にしても言葉の意味にしても正しく使えない。当然、ビジネスにおいては重要な数字もきれいにかけない。ゼロなのかロクなのか区別がつかなかったり、ケタを揃えて書くことができなかったりする。
 また、コピーを取る、ファイリングするなども、手を抜いてしまう。四隅を揃えるとか、折り目をきれいにつけるとか、手にする人、使用する人、ファイルする人への配慮ができない。
 新入社員でもないのに、できない人に出会うと、どんな教育を受けてきたのだろうか、これまで困らなかったのだろうか、と不思議に思ってしまう。

3. マナー

 マナーでも同様である。電話のかけ方でも「かけた方が先に切る→用事があった方だから」とか「お世話になったらお礼状を出す(メールでも文面が失礼でなければ構わない)」
などができていない。
 教えられていないのか、教えられたことを忘れてしまったのかはわからないが、どんなに優秀な頭脳を持っていても、これらの基本動作ができていなければ、その優秀さは評価されない。
 基本であるはずのことができない、身についていない。足元から業績が崩れる予兆である。もう一度、原点に返って見直していただきたい。