1. 遮断することが可能なのか
ほとんどのビジネスマンが、ネットのない社会を想像できないと思うし、ネットがない時代の仕事のやり方には戻れないだろう。情報の収集や交換、商品のPRなども全てネットが活用されている時代である。
だからこそ、その使い方が重要となる。一歩間違うと“ネット依存”の状態となってしまう。信じる情報はネットのみ、友達関係もネット中心、会話もネットを介して、とネット漬けの生活になってしまう。しかし、外から見ていると不便がないため、普通に生活しているようにも見えるから怖い。
では、ネットを遮断して仕事なり生活なりしていくことが可能かといえば難しい。自分ひとりで生きているわけではないので、仕事を進めていく際、必ず相手がいることになる。その相手とメールのやり取りをしないで仕事がスムーズに進むか、ネット上で相手の会社のHPなどで会社案内、商品や製品、サービスのことを調べないで支障はないか、など考えてみればわかることだ。
2. 良いとこ取り
気をつけないと、人間はいいとこ取りをしてしまう。現実の世界はできなくても、ネットは都合の悪いことから身を守ることもできるからだ。都合の悪い情報が届かないように、身内からや友人からの暖かい言葉だけを選別することができる。
現実の世界では、瞬間的に言葉を選びつつ、目の前の相手とコミュニケーションを取らなければならない場合も、ネットなら言葉を調べながら文書作成ができ、文字校正や文書の構成の修正まで可能である。耳の痛いことを言われていても現実の世界では逃げようがないが、ネットの世界では切断すれば済むことである。耳障りの良いことばかりを聞くことも可能だし、プロ以外の声(甘い基準、甘い目線の評価)に酔うことも可能である。
3. 距離の取り方に注意
活動のフットワークが悪くなると、現場から遠くなり、現実が見えなくなる。それをネットで補ってしまうと、最初のうちはうまくいっても長続きはしない。
現実の厳しい風から逃げてはいけない。コミュニケーションも人間関係もネットをうまく使ってこそである。遮断できないのだから、うまく距離を取ってつきあう。
40代以上の世代は慣れることから始まる。20代・30代は少し距離を置くことから始まる。育った環境が違うからこそ、アプローチが違う。しかし、共通の使い方でなくてはならない。目的を見失わないようにリードしていかないと、我々はネットとの距離を間違える。