【第101号】あなたは見られている

1. 1点豪華主義

 電車の中で、いろいろな人の服装や小物を観察するのが好きである。自分がこだわりを持っているのと、どんなものが流行しているのかも知りたいからだ。また、その人がどれだけ自分の身なりに気を使っているのかも見えてくるからかもしれない。
 気になる点の第一は、原則を守っているか、いないかである。ビジネスマンでスーツに白系のソックスはありえないし、鞄は少なくても、靴の色とベルトの色は合わせて欲しい。ワイシャツにはアイロンがしっかりとかかっているべきだし、ネクタイもディンプルをしっかりと作って結んで欲しい。
 もうひとつ気になるのは、時計や鞄だけがブランド品として目立っていることである。さすがにスーツのブランドまではわからないが、時計やカバンはわかる。高級腕時計をしているのに、靴は泥だらけで、革も磨り減っている状態だったり、ブランド物の鞄を持っているのに、スーツはしわだらけだったり。1点豪華主義もどうかと思う点である。

2. 悪いことばかりではない

 いつも自分は貧乏くじを引いていると感じてグチをこぼしている人とお会いすることがあるが、世の中そんなに捨てたものではない。必ず見てくれている人がいる。筆者のこれまでの40数年の人生(3.11での震災の時にも感じられた)がそれを物語っている。
 人は順風満帆な人生など歩めない。どこかで挫折するし、壁にぶつかる。ここでの態度や姿勢は、周りの人に見られている。「お天道様」かもしれない。その時の苦労はいつかは報われる。それは予想していた形ではないかもしれないし、あまりの年月の長さに忘れてしまうかもしれない。しかし、必ず自分のもとに返ってくるのである。

3. 常に振り返ること

 人間は弱いものである。気が緩むと、人に見られていることを忘れる。身だしなみにしても、日頃の行いにしても。
 タナベ経営では、常に自分を振り返るために「三省」をお勧めしている。
一、 今日一日わが社の業績を高めるために誤りなかりしか
一、 今日一日わが社の信用を高めるために誤りなかししか
一、 今日一日、学ばざること教えざることなかりしか
 というものである。これを毎日意識すると気が引き締まる。どんな形であれ、一日の自分の行いを振り返り、総括することは大事である。その積み重ねが、「自分はこれだけやっているんだ」という自信になり、結果を悠然と待つ姿勢ができあがる。「結果はついてくるもの」なのである。