【第78号】部下を失望させないために

1.聴く耳を持っているか

 経営トップであれ、部門長であれ、部下からの報告や相談に耳を傾けることが必要である。「言ってもムダ」「言うと損をする」という思いを部下が持ってしまったら、組織が機能しなくなる。つまり、チームワームも無くなってしまい、1+1が2未満になってしまう。「聞く」と「聴く」は違う。ある方が言っていたが、「聴く」とは耳だけでなく、目と心で聞くことである。しっかりと話している相手を見つめ、真剣に言葉を聞き漏らさないようにする姿勢。仕事の合間に、話している部下の方に身体を向けずに、「ふんふん」聞いているのでは、ダメである。
 部下の言う通りにしろ、ということではない。まず、「受け止め」なさい、ということである。そして、それが正しいのなら採用する、ということである。

2.明確な方針を伝えているか

 部下は自分が、自分の所属している組織がどちらに向かっているのかを知りたいと思っているし、示して欲しいと思っている。それが見えないとやはり不安なのだ。
 ところが、トップの中にはそれを示さない場合もあるし、トップが示しても幹部がそれを“部下のわかる言葉”で伝えていない場合もある。重要なのは、部下がそれを「理解している」ことである。上司が「伝えていること」ではない。「おれはちゃんと伝えた」と言われても、部下がそれを理解していなければ意味がない。
 「何を考えているのか、わからない」という状態が一番困るのである。コミュニケーションの問題もあるし、信頼関係の構築という課題もある。しっかりとした意思疎通ができる関係が必要である。

3.自分の思いを補完する制度を作っているか

 会社には様々な仕組みがあるが、それがトップの方針や部門長の方針を伝える、実行させるための補完する制度となっている必要がある。
 賃金を決定する仕組みや処遇を決定する仕組みなどは、トップの人に対する思いを実現する制度であるし、目標管理制度などは、組織の責任者がどうやって目標を達成させるかの思いや考えを反映させる仕組みである。
 社内にある「制度」は、単目的で存在するのではない。組織を有機的に機能させるものであり、それを活用させることで、社内のコミュニケーションを活発にさせ、思いを共有化するものである。
 諸制度の整備状況の確認だけでなく、活用状況やその目的と成果を確認し、うまく連携が図れているか、相乗効果が出ているのか、まで確認することが重要である。