【第77号】組織をつくる

1.助け合うモチベーション

 個人単位で完結する仕事より、組織で役割を分担しながら進めていく仕事の方が多い。しかし、組織力を発揮するための組織づくりはなかなかうまくいかない。
 これはそれぞれのメンバーが助け合った方が自分のメリットがある、という認識を持てていないからである。善悪や好き嫌いもあるが、損得による価値判断がここでは働く。結果主義的な評価が主流になると、他人を助けている時間があったら、自分の成果をあげることを優先する。
 メンバーを助けることにメリットを見つけさせないと、助け合おうとしない。評価項目に加える、組織としての利益や成果の評価ウエイトを高めるなどの仕組みを整えないと、言葉で「助け合おう」と言ってもなかなか行動には移せない。

2.競争と依頼と協力のバランス

 メンバー間の競争も必要である。また助け合うためにできないこと仕事を依頼することも必要である。困っているメンバーを見たら、積極的に協力していく姿勢も必要である。これからが特定のものに偏らず、バランスよく発揮されることが望ましい。
 ライバル意識がないと、より高い目標の設定がなされず、なあなあになりやすい。これでは成長するスピードがなくなり、組織としても不活性化していってしまう。当然、組織内にいいライバル関係になる人材を配置することもポイントとなる。同期・同世代による競争心の活用、異性の投入による刺激策、多国籍化など手法はいろいろある。
 仕事を依頼するためには、お互いの能力を知り合う必要があるし、その能力を信頼することも必要になる。組織内のコミュニケーションが不十分だと、こういった面は機能しない。
 進んで協力するためには、GIVE&GIVEの精神も必要だ。見返りを当てにするのではなく、本当に困っている人を助けたいと思う気持ちである。

3.役割分担

 面倒を見る人、仕事を教える人、相談に乗ってくれる人など組織内にはさまざまな場面での潤滑油的な働きをする人がいるものである。
 そういう人材をうまく活用する。いない場合は、上司がその役割を何役もこなさなくてはいけなくなるのだが。
 また、そういう役割分担を進めていくためには、組織内の人材を多様化することである。様々なキャラクターの人材を集めることで、個性がぶつかることによるシナジー効果を期待できるし、相互補完も進む。組織の同一化もある程度防げる。
 統一性が失われることよりも多様化を得られる方が組織のためになる。組織作りは難しいが、継続して取り組んでいく重要な課題である。