1.どこに技術革新が発生するか
仕事の関係で、週に1回ぐらいは被災地のお客様と情報交換している。その際に、できるだけプライベートの友人たちとも会い、現状を聞いている。かなり復旧が進み、復興が見えてきている地域もあるが、一方でまだまだ復旧の足がかりさえ、掴めていない地域もある。
その中で、今回の被災を通じて、どれだけの産業にどれだけの新しいノウハウが生まれてくるかが、復興のポイントとなるし、それぞれの企業の業績回復にもつながる。
これだけのダメージとなると、元あった姿に修復されるということはありえない。ビジネスモデル、仕事のやり方、マーケットの変化をいち早く掴み行動するかがポイントである。実際、これまでとは販売のやり方、商品構成などをすでに変えてきている企業も出てきている。
2.供給側のダメージと消費側のダメージのギャップ
まずは物理的な制約が発生している面がある。自動車業界など、その例である。需要はあるが、供給できない。コスト面からの部品調達先の絞込みがリスク面とのバランスを欠いてしまった。
心理的な面も大きい。ひとつは自粛ムードである。さすがに居酒屋レベルでは回復してきたものの、クラブ・スナックなどのお店の客足はまだまだのようである(仙台の国分町など)。また、放射能の問題も大きい。関東圏の野菜や畜産物、太平洋側の魚介類なども敬遠されだしている。危険だと断定されたわけではないが、“なんとなく”避けておきたい、と思ってしまう。
3.復興の形をイメージできるか
復旧は元に戻す作業なので、これは考えることなく実行できる。問題は、その先の復興である。どういう形で盛り上げていくのか、構築していくのか、の明確なビジョンが必要である。そして、そこを構築していくためには、復興後の姿までイメージすることが重要となる。その前提は、これまでとは違う形となること、である。
市場の大きさを含めて、同じには戻らない。そして縮小と見ていたものが、拡大するかもしれないし、縮小のスピードが速くなったり、遅くなったりするかもしれない。
当然、取引関係も変わってくる。これまでのコストという視点だけでなく、リスク分散という視点も加わってくるからである。
ビジネスチャンスは必ず巡ってくる。そのチャンスをつかめるかは、これまで何度も指摘させていただいているように、思考力にかかっている。関係ない、と放置しておくことのないようにしたい。