1.川上・川中・川下のどこで目詰まりが起っているのか
いろいろな企業で情報収集が始まっているが、これまでにない広域にわたる震災で、先が見えない企業が増えている。それぞれの業界において、素材や資材などの川上分野がダメージを受けているのか、輸送などの流通過程がダメージを受けているのか、消費者へ供給する川下部門が影響を受けているのか、がかなり違っている。自分たちがその中のどこに位置しているのか、仕入先・販売先の選択肢は残されているのか、によっても大きく違う。ほとんどの過程で影響を受けていると、復興まで長い時間を要する場合もあるし、一部であれば、すでに復興している場合もある。
BCP(事業継続計画)を作成している企業はその穴を素早く埋めて、震災1週間後には、ほぼ通常通りの事業再開にこぎつけているところもある。
2.ジャパンブランドの信用力低下
もうひとつ考えられるのが、輸出産業における“ジャパンブランド”の低下である。ひとつは技術力に対する信用低下。もうひとつは食品の安全・安心に関する信用低下、そしてもうひとつは政府の今回の対応に対する信頼の低下である。
日本人の冷静さや忍耐強さへの称賛は高まっているが、それ以外の製品・商品の品質への信頼は失われている部分が大きい。これを取り戻していくのはそう簡単ではない。日本国内での風評被害ですらなかなか防げない状態となっているのに、海外となるとなお更である。
政府自身への国際的な信頼が低下するなか、その政府が発表する情報への信頼も同時に低下しており、今後その挽回も容易ではない。
3.マーケットとしての購買力低下
そして一層、復興の道筋を見えなくさせているのが、マーケットとしての購買力の低下である。現在の自粛ムードが永遠に続くわけではないが、消費者心理に明るさが戻るのはかなり先になる。生活基盤、そして将来への安心感が生まれない限り、なかなか消費意欲には結びつかない。
お金の流れも今現在では、まだまだ不透明である。政府の補償はどうなるのか、放射能関係の補償はどうなるのか、金融機関の支援はどうなるのか(低利融資とは言っても借金である。事業継続の意欲のモチベーションには現状なかなか結びつかない)。
実際、小さな商店主や事業主からは、現状の復興スピードでは、それまで持たないという声も出始めている。自らスピード感を持って動くことが重要である。これまでの倍以上のスピードで動いて初めて活路が見える。ピンチをチャンスに、である。