【第70号】リスクマネジメントの大切さ

この度の東北地方太平洋沖地震におきましては、甚大な被害が各地に及んでおりますが、被災された企業様ならびに関係者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

1.“ありえない”にどれだけ備えるか

 今回の「東日本巨大地震」で、東北・関東の各地はこれまでにない経験をすることになった。津波の大きさにしても、そして続いて起った原発の事故もいずれも“ありえない”ことであった。しかし、実際には起ってしまった。地震は自然災害であるが、企業に起るトラブルも含めて、この「ありえない」に対処しなくてはいけないのが、リスクマネジメントである。起ってから対応するのでは遅い場合が多い。
 ライフラインの確保であったり、通信手段の確保、食料の確保など、災害に対するものは数多い。企業の場合も同様である。今回のような災害時の緊急連絡網はあるのか、顧客への対応マニュアルはあるのか、被災社員への支援体制はあるのか、など多岐にわたる。

2.筆者の体験

 この地震に筆者は、秋田に向かう新幹線の中で遭遇することになった。しかもトンネルを通過中であった。地震による停電による緊急停止で、どうすることもできない。もちろん、通信手段はない。結局は、19時間閉じ込められることになるのだが、対応として良かったのは、すぐに携帯の電源を落としたこと。偶然として良かったのは携帯がもう1台あったことである。救出後、充電機会を得るまで通信手段を確保することができ、すぐに家族・会社に連絡できたことである。また、このあとの宿の確保や安全な場所への移動についても、お客さまと連絡が取れたことで、支援いただくことができた。通信手段を絶たれていたらと思うとぞっとする。

3.今後にどう活かすか

 しかし、反省点もいっぱいある。引越しの準備中ということもあり、荷物を減らしていたため、非常食がほとんどなかったこと。これほど停電時間が長引くとは思わず(3日間)、冷蔵食品の冷凍庫への移動ができなかったこと、家具などの転倒防止が不十分だったこと、電池などの備蓄がなかったこと、などである。
 また、その力を知ったのが、ネットである。ツイッターはじめネットの通信確保により、移動手段や通電状況など、TVが見られない状況でも一定の情報量が確保できた。
 リスクは個人にも企業にも山のようにある。「ありえない」をどれだけ想定できるか、である。原発事故のように常に「ありえない」が原因になる見本もある。「そんなのあるわけない」を排除しないと、リスクマネジメントはできないと今回痛感した。
 合議でのんびりと意思決定している時間はない。お役所仕事をしていたり、ルールに縛られると緊急事態の対応ができないことも理解しておく必要がある。