【第67号】これからの営業マン教育

1.分業の仕組みを確立する

 営業マン教育の難しさは、求められる能力が年々上昇していることにある。以前は、名刺の枚数が口座開設の目安だった。その次は提案能力が目安だった。今は、解決能力になってきている。ソリューション営業、コンサルティング営業と言われるものである。
 しかし、多くの営業マン教育を担当してきた経験から言えることは、「全ての営業マンがコンサル営業をできる可能性は少ない」ということである。
 よって、現実的な対応としては、社内処遇制度とも関連してくるが、営業マンの役割り分担を明確化し、その生産性に応じて、様々な仕組みを構築することである。評価制度しかり、賃金制度しかり、そして教育制度しかり。営業マンとして能力測定をする仕組みも当然必要となる。

2.考えるべき部分を明確にする

 新人営業マン、若手営業マンあるいは、営業能力がまだまだの方には、できるだけ“考える部分”を明確化し、少なくしてあげることがポイントとなる。お客さまの所に行って、ある程度、機械的にヒアリングできる、観察できるようにしてあげる。日報も記入項目を具体化してあげて、書くべき内容を明示する。
 訪問先、売るべき商品もベテラン社員並に広げないことである。どこの企業の営業マンに聞いても、自分の能力で劣ることは何か、と尋ねると、まずあがるのが「商品知識」である。お客さまのニーズが多様化し、技術革新のスピードが上がれば上がるほど、商品の陳腐化が早まる。当然、市場に出回る商品アイテム数も増える。その状況で、全ての商品を覚えることは、新人社員にはムリなことである。よって、段階的に覚えていく仕組みを作る。
 少なくとも新人・若手、中堅、ベテランの3つの段階ぐらいには分け、営業スタイルから求める成果等もそれに応じたものにすべきである。

3.全員営業の考え方

 また、全員営業の考え方も重要である。営業は情報戦である。営業マンだけからの情報ではライバルに勝つには少なすぎる。現在の倍以上の情報を社内に取り込むためにはどうすればいいのか、を徹底的に考える。
 これも営業職の社員と同じレベルの情報を求めない。営業が動けるヒントになるもの、きっかけになるもの、既存・新規客に提案できるヒントとなるもの、いろいろ考えられるが、直接商談に結びつく必要はない。
 営業は難しく考える必要のない職種である。常に目の前にいるお客さまのことを真剣に考え、どうすることが誠意あることなのか、どうすることがお客さまが困っていることを解決することになるのか、を考えられるようになることである。