【第46号】動かなくなった“歯車”を動かす

1.どこの歯車が錆付いているのか

 社内で業務改善に取り組んだり、プロジェクトを立ち上げて、制度改革を行ったりするときに重要なのは、実行に移す段階で、どこの歯車が錆付いているのかを的確に把握することである。つまり、実行段階で、積極的に動いてくれない人・組織、自主的に動いてくれない人・組織を事前に把握しておくということである。
 また、何で錆付いてしまったのかも把握する。対策を立てて実行していくには、当然、その原因を知らなくてはならない。一番多いのが、「計画することが目的化」している体質になっていることである。プロジェクトを立ち上げることが目的になっていて、実行計画を作るところで終わり、となっている。これでは改革の歯車は動かない。

2.錆付いている歯車の数はどのくらいか

 現在のように景気低迷期が続き、採用の面や昇給の面で、組織活性化ができていないと、社員全体のモチベーションが低下している可能性が高い。
 社員の半数以上が「錆付いた歯車」状況では、まず、この錆をとることから始めないといけない。そのために「認知」の文化を社内に根づかせなくてはならない。上司が部下を認める、同僚が同僚を認める、部下が上司を認める(尊敬する)という関係の構築である。
 また、どの階層が錆付いているかも重要である。幹部が錆付いているようでは話にならない。環境が厳しい現在、錆付いている幹部は少なければ少ないほどよい。できれば、ゼロにしたい。中堅以下は様々な事情があり、錆付いてしまう社員もいるだろう(スランプ等で)。しかし、その期間をいかに短くしてあげるかが重要である。

3.どうやって大きなエネルギーを生み出すのか

 それらの錆付いた歯車を動かすには、とてつもなく大きなエネルギーが必要である。そういう場合にはどうしたらよいのだろうか。
 まずは、我々のような外部機関を活用することで、大きな推進力を生み出すことである。社内ではいろいろなしがらみがあって、思い切ったことが言えなかったり、事業や組織の統廃合も出来ないことが多い。そういう場合に、第三者の意見は大きな意味を持ってくる。
 そして、できるだけ小さなことから、達成できることから始めることである。大きな目標を立てて、それに挑むことも重要だが、多くの社員が達成感を得られ、なんとなく「変っていっているのでは」と感じられることが必要なのである。
 また、中小企業は「何をやる」ことだけに囚われがちである。人材に限りがあるのだから、常に「誰がやる」の部分を忘れないようにして欲しい。