【第81号】素直さと謙虚さ

1. 自己啓発の姿勢

 社会人になっても学習が続くことは、全てのビジネスマンが実感していることだと思う。ましてや、現代は生産性の課題もあり、少数精鋭が望まれ、様々な分野の知識が必要とされる。新人、若手、中堅、ベテラン、幹部、役員と階層別にカリキュラムが用意され、常に勉強していなくてはならない。
 一番のポイントは「やらされる」のではなく、「自らやる」自己啓発の姿勢である。好奇心を持って臨み、なぜなんだろう、どうしてなんだろう、という探究心を絶やさない。そして、素直な気持ちで人の話を聞く。「そんなことできない」「自分には当てはまらない」「俺はわかっている」などの思いを持って聞いても、時間のムダになってしまう。聞いたことのある話しでも「これは復習だ」「やはりそうなんだ」「自分の考えは間違っていなかったんだ」と思って聞く。そういう姿勢が重要である。

2. 反面教師という存在

 どんなに嫌いな人でも、相性の合わない人でも、何か学ぶことはある。おかしいと思うことでも「反面教師」とすれば良いのである。
 筆者も社会人になってからこれまで、様々な方と上司・部下の関係になったが、見習いたい上司もいれば、反面教師となる上司もいた。嫌いだからといって避けていては、成長はない。いっしょにいることで学ぶことはある。「人の振り見て我が振り直せ」である。
 管理職の評価項目に「謙虚さ」という項目が増えて話題になったことがあるが、管理職は過去に立派な成績を上げたから管理職になったのである。それを改めて自慢する必要はない。自分に続く優秀な部下を育てていかなくてはいけない。いつまでも自分と比較して、できる、できない、ではないのである。

3. 許せる心のゆとり

 以前もこのコラムで書いたが、部下も好き好んで失敗している訳ではない。お客様のため、会社のためを思って行動しているのである。しかし、油断があったり、能力の不足があったりして、うまくいかない事態を招く。
 それを許せる心のゆとりを持つ必要がある。「彼(彼女)も一生懸命頑張っている。なかなか結果を出せないでいるようだから、少しサポートしてあげようか」という姿勢が見せられるかが、上司と部下の信頼関係につながる。心のゆとりは部下にも必要である。上司も良かれと思って部下のことを叱っているのである。
 何度も同じ失敗を繰り返す、お客様に多大な迷惑をかける、などはしっかりと指導してあげる必要がある。それでも部下を信じてあげなくてならない。もし、信じられないのであれば、上司・部下の関係を見直す必要も出てくる。