1.トランプ大統領誕生
米国の新しい大統領が、選挙中の公約を次々に実行して、いささか混乱を招いている。目が離せない状況であるが、では選挙中にこうなることを予測した人がいるだろうか。少なくとも、メディアの大半はヒラリー・クリントンが女性初の大統領になると予想していた。しかし、今になって思うとそれは、伝聞に基づいた予測であり、現地調査しているジャーナリストは、ヒラリーへの反発とトランプへの共感の凄まじさに驚いていたようだ。つまり、日本での報道と現場の温度差はかなりあったということ。日本のマスコミも現地での調査を徹底していたら、きっとトランプ大統領誕生を予想できたところもあったに違いない。現地現場を疎かにするとこれだけ結果を見誤るのだ。
2.中国でのデモ
日中関係が悪化して久しいが、尖閣諸島の問題がクローズアップされていた頃、日本企業の店舗などが破壊され、デモが起こったことがあった。このときも連日テレビでは、その激しいデモの様子が報道され、新聞の写真にもなった。日本人が中国に入国すると大変なことになるのでは、という雰囲気だった。ところが、中国の知り合いに現地の様子を聞いてみると、現地のメディアでは全然放送されておらず、「なにそれ?」という感じだった。現地の中国人とも普通にビジネスをしている様子だった。中国に知り合いの居ない日本人なら、中国ではとんでもない騒ぎになっていると思っていただろう。しかし、現地の様子を確認すると、全然違うことがわかるのだ。
3.異常気象の報道
今年の冬も異常気象は続いている。新潟で雪が降ってニュースになるぐらいだから、少ない時と多い時の格差が大きい。しかし、豪雪地帯で雪が降って「大変ですねぇ」とインタビューされても答えようがない。普段降らない新潟市内でも10センチ近い降雪だったが、それも最近の傾向としては慣れっこになっている。これらの情報が全国ニュースで映像として流れると、「新潟が大変なことになっている」となってしまう。確かに都心に住んでいる人からすると積雪が1メートル以上の映像はインパクトがある。事実ではあるが、現地で感じるものは別だ。テレビや新聞は確かに一面を切り取って伝えてはくれる。しかし、それでは本質は見えない。実際の企業で起こっていることも同様である。組織が大きくなればなるほど、本質は見えなくなる。自分の目に映っているものは真実なのか、今一度検証する必要がある。