1.社員教育
社員教育は多くの企業に共通する課題である。そして永遠の課題でもある。以前もこのコラムで触れたが、その課題を更に複雑にしているのが、学校教育や家庭での教育の変化である。現在、50代、60代の方々は、恐らく親もしくは学校の先生から体罰を受けた経験があると思う。当時はそれが当たり前だった。そして、子供たちもその「痛み」から逃れるために、怒られないようにした。今は、もちろん体罰などもってのほかである。しかし、体罰を使った教育に変わるものを見つけられていない。体罰に頼らず、怒鳴らず褒めれば育つなら、こんなに簡単なことはない。体罰をせずに厳しく接することができない親や教師が増えている。そのため、会社に入ってくる若者の「躾」ができていない。
2.覚悟できない社員
会社に入ってくる若者も、「この会社で一生働いていくんだ」「この会社で活躍して社会に貢献するんだ」という“覚悟”ができていない。何となく会社に入ってきて、何となく仕事をしている。だから、先輩社員や上司から少し厳しいことを言われると、耐えられなくなってしまう。何かあると「パワハラ」になってしまう。ハラスメントはいけないことである。しかし、指摘することを恐れてしまうと、将来、その部下が責任ある立場について、責任ある仕事をすることができなくなってしまう。“覚悟”がないからである。「嫌われたくない怒れない上司」が無責任で、権力で人を動かそうとして、部下から「ダメ上司」のレッテルを貼られてしまうのは、結局この“覚悟”がないからである。上司にも部下にも覚悟ない今のままでは、将来の日本の企業を背負う管理職は生まれてこないかもしれない。
3.会社の受け皿
「教育する仕組み」も「育つ環境」も「認める仕組み」も、社員の“受け皿”である。それが準備できていないのに、社員が定着しない、と嘆いても仕方ない。どういく研修制度があるのか、OJTは機能しているのか。そして本人たちが“覚悟”を決める、そして自分で「やる気」のスイッチを入れる環境が整っているのか。そして、君を必要としていると伝えられる「認める仕組み」があるのか。評価制度であったり、報奨制度などである。社員がすぐ辞める、あるいはなかなか入社してくれない、というのは、この“受け皿”が整っていないからなのである。今いる社員が満足していないのに、新たに入って来る社員が満足するはずはない。今いる社員が将来に希望を持てていなければ、入って来る社員も希望は持てない。