1.じわじわと広がる景気低迷
多くの経営者との交流が増えると、「おや?」ということも増える。顔見知りの経営者本人は、元気そうなのだが、経営していた店舗が閉鎖されたり、突然倒産に至ったりする。新聞やテレビでは、盛んに政府の経済対策の効果を喧伝しているが、地方経済は少しもその恩恵を受けられていない。中央のひずみの影響を受け、また消費者の懐も暖まらず、消費の低迷は深刻である。ちょっと忙しくなったからと言って、油断をしていると、すぐにその反動が来る。売上と原価のバランスが崩れやすくなっていることも気にかかる。中小零細企業では、未だに売上一辺倒の管理であったり、経費全体を視野に入れず、粗利だけの管理に終始している企業も多い。
2.隠れているのか隠しているのか
意図して、経営者が元気に振る舞っているのであれば、まだ救える余地もあるが、気づいていないのであれば、救うチャンスも生まれない。経営者が気づいた時には、手遅れになっているからだ。会社の中に、アラームをセットしていないのである。この数値になったら危険信号というアラームである。筆者としては、このアラームの数値もここ数年、急激に変化してきているように感じる。以前のような数値基準ではなくなってきている。安全圏が安全圏でなくなってきている。また、1年に1回のチェックではなく、半年、四半期とチェックの頻度もあげないと、変化のスピードについていけない。月々の変化をどれだけタイムリーに把握するかが中小零細企業にも重要になってきているのだ。
3.ノウハウだけの限界
もちろん、攻める側の指標だけではない。守りの指標も重要になってきている。そして、それは、人に関することも含めてである。悩んでいる会社は増えているが、未だに「ノウハウ」だけで解決しようとしている。しかし、今は「やり方」を教えているだけでは解決しない。「なぜ、そうするのか」「目的はどこにあるのか」「自分が実行する価値はどこになるのか」などから教えてあげる必要がある。そして、それを理屈だけでなく、心で感じられるようになる必要がある。人間は「ウキウキ」とか「ワクワク」の状況を作ってあげた時が一番、力を発揮する。そんな感情は、仕事ではなく、遊びに関することだろ、という考え方は古い。スポーツの世界でもすでに取り入れられている。厳しい練習で成果を生み出す時代ではない。私たちが「あり方」について教えているのもここに理由がある。